壺のある生活

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海を飛ぶ夢
海を飛ぶ夢 THE SEA INSIDE (Mar adentro) (2004/スペイン)
theseainside.jpg
重い・・・。

監督・脚本
アレハンドロ・アメナーバル Alejandro Amenábar
出演
ハビエル・バルデム Javier Bardem (Ramón Sampedro)
ベレン・ルエダ Belén Rueda (Julia)
ロラ・ドゥエニャス Lola Dueñas (Rosa)
マベル・リベラ Mabel Rivera (Manuela)
セルソ・ブガーリョ Celso Bugallo (José)
クララ・セグラ Clara Segura (Gené)
タマル・ノバス Tamar Novas (Javier 'Javi' Sampedro)
フランセスク・ガリード Francesc Garrido (Marc)
ホアン・ダルマウ Joan Dalmau (Joaquín)
and more

【ストーリー】
19歳でノルウェー船のクルーとなり、世界中の国々を旅したラモン・サンペドロ(ハビエル・バルデム)。彼にとって海は、世界へ開かれた広大な扉だった。だが、皮肉にもその海で起きた事故で、ラモンは肉体の自由を完全に奪い取られてしまう。部屋の窓から意識だけを外の世界へ飛ばし、寝たきりの生活を送る日々。それを20数年続けた末、ラモンはついにある決断を下す。それは。自ら死を選びとることで、生の自由を獲得することだった・・・
(予告ペーパーより引用)


“尊厳死をテーマにした映画”というふれこみで足を運んだ映画ですが、内容はもっと深いものでした。

メインテーマは尊厳死ですが、四肢麻痺患者の人権やプライバシー、介護される側とする側のギャップや、支える家族の葛藤や将来への不安等など・・・
四肢麻痺患者を取り巻く様々な日常や、言葉にならない葛藤や、発言を憚られるような率直な意見のぶつかり合いを目の当たりにしました。すごい映画だ。


主人公のラモンは、海での事故で首の骨を折り、以降28年間に渡って寝たきりの生活を送っています。
「あの時死んでいれば」と悩み、生きるすべてに人の手を借りなければならないラモンは、「生きることは義務ではない」と自ら死を選ぶ決心をします。
しかし、自分一人ではそれすらかなわぬ体のため、他人の手を借りる必要があり、そして手を貸した人にとってそれは殺人行為であり、犯罪になってしまう。
そこでラモンは、“尊厳死の会”へ入り、尊厳死が公的に認められるよう戦います。

しかしなかなか壁は厚く、同じ四肢麻痺患者からもラモンの「生の義務放棄」は批判され、家族までもその対象にされてしまいます。
進まない裁判と家族への批判、死にたがる自分を責める人たち。
ラモンは「なぜ自分は死にたいのか」と激しく泣きながら錯乱します。何故だ、何故だ、と繰り返して。
自分は死を選ぶのだ、とはっきり意思表明している彼だけに、内面の奥深くをさらけ出すような叫びに、見ているわたしは動揺しました。

家族は、彼の意思を尊重したいとしながらも、生きて欲しい、死なないで欲しい、と葛藤します。
死んで欲しくなんかない、でも本人は死にたがっている、先に死ぬなんて、でも楽にしてあげたい・・・
ラモンの家族たちは、実にリアルにそういった感情を演じていました。素晴らしかったです。

ラモンがとうとう死を選択し家族の元を離れるシーンでは、葛藤と悲しみを押し殺したように泣く家族に、涙が止まりませんでした。
普段面倒くさそうにラモンの世話を手伝っていたハビが泣き、複雑な表情で遠くから見守る兄と、最後まで見送れなかった義姉の涙を見て号泣ですた。ラモンのお父さんは、出ても来られなかった。今思い出してもうるうるしちゃう(´;ω;`)ウッ…


ラモンをサポートする弁護士のフリアは、自らも脳血管の病のため足が不自由で、発作が起きる度に足を失い、視力を失い、記憶を失い、そして植物状態になってしまうという自分の行く先の不安から尊厳死を支持する女性。
彼女はしかし、やはりラモンを殺す手助けは出来ませんでした。

TVを見てラモンに生きる望みを与えられた女性ロサは、ついにラモンに最後の手を貸す人になります。
愛しているなら死なせて欲しい、というラモンの言葉通りに行動します。
序盤から出てきて最後までラモンに関わる女性なので、彼女なりに様々悩んだ結果ですが、どうも浅はかに見えて仕方ない。
ラモンの死後、彼女がそれを後悔しなかったのか、知りたいと思いました。


周囲を巻き込み、悲しませてまでそんなことをするなんて、という思いと、
もし自分がラモンの立場だったら、同じように望むかもしれない、という思いが交錯しました。

ラストシーンでは、痴呆のすすんだフリアが夫に支えられて穏やかに過ごしています。
意思を貫き命を絶ったラモンと、尊厳死を望みながらも支えられながら生を全うするフリア。
その対照的な表現に、またいっそう、“尊厳死”について考えさせられる映画でした。


しかしこのラモン、受傷してから、年に数回しか外に出ないらしいです。性格や以前の生活によるのかもしれないけど、もっと外に出てみたら、また考えも変わったんじゃないかな、と思いました。
活動的で、人生を謳歌している四肢麻痺患者だってたくさんいるじゃないですか。

でもそれも、健常者が勝手にそう思ってるだけかもしれないですけどね。


★★★★☆



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